衒学者の回廊/園丁の言の葉:2005

エリアーデ語録 #1

2005-09-12
 
English version
  

天や死後の生命に関する形而上学的・神学的探究は無意味である(公冶長篇一三、述而篇二〇、先進篇一二)。

「君子」はまず第一に、現実の具体的な人間存在に関心を持たなければならない。霊的存在に関しては、否定しなかったものの、その重要性には疑問を持っていた。敬うのは構わないが、「それは遠ざけておけ。これこそが知恵というものだ」(雍也篇一八)。霊的存在に奉仕することについても、「もし人間に仕えることができないなら、どうして霊的存在に仕えられるのか」(先進篇一一)と述べている。

エリアーデ『世界宗教史 II』筑摩書房「孔子──儀礼の力」より


これが宗教研究者のが引用した孔子の言葉だと知れば、驚く方もあるかもしれない。だが、ここには宗教というものに付き物の「霊性」や「神秘主義」以上に重要な「生きる人間の生存」に関わる事件に関する共通 の記憶を扱うものであるということについての、控えめではあるが重要な示唆がある。



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