ちょっと気が早いと思う方もいらっしゃるだろうが、これを読んでその意義を理解された方々には、これからやってくる「クリスマス」、そして「正月」が待ち遠しく、なるであろう。
[漸次推敲]
この装置に関するあらゆるもの──爆弾塔の置かれている地点、その爆発の計画時刻──が、実験の暗号名称「ゼロ」でまにあわされていた。あらゆる関係者にとって、「0」は世界の中心となった。時間も空間もゼロ0に始まりゼロ0に終わった。全生活がゼロ0に集中された。すべての人がゼロ0地点とゼロ0時間、いやどちらかと言えば、ゼロ0超瞬時のことを考えた。 これは「歴史の更新」の始まる時間とその地点を時間座標軸と空間座標軸の「0」としたのである。しかもこれから引き起こそうとしていることの意味をよく理解している物理学者たちがほぼ無条件に受け入れた「始まり」(そして「終わり」)の地点を表す象徴であったのだ。 「緑」という色が特に「錬金術」そして円環の閉じる地点、時間の回帰地点の象徴が緑色との強い関連を持つという理由が以下のローレンスの著述の中に見出せる。 ちょうどその瞬間、地の奥からこの世ならぬ光が立ち昇った。それはまるで、無数の太陽が一時に輝いたような光だった。この世界にかつて見られたことのなかった巨大な緑色の超太陽が、何分の一秒かの間に二千四百メートルの高さまで立ち昇り、さらに高く高く雲に達して、目のくらむばかりの光輝で天地を照らしたような日の出だった。 ここにこそ、門松の青竹や松葉の緑、クリスマス・リースの緑、ウロボロスの鱗の緑、茶の湯の茶の緑、そしてここではまだ語らないが、文殊菩薩の跨がる「緑の獅子」、そして錬金術伝統における「太陽をかじるGreen Lion」の緑の色、などなどの《祖型色》の理由があるのである。 臨済宗瑞龍寺天澤僧堂の禅師・隠山惟?(1754-1817)の円相の傍らに書かれているメッセージは「心月孤円 光万象を含む」なのである。 初出:金剛への第一歩 集団的な「浄化」儀礼と<円相>の伝えるもの
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