あなたは今、茶室に面した閑静な庭園にいる。あなたの眼前には飛び石があって、似たような材質の、あるいは場合によっては似ても似つかない材質の石が、ある一定の間隔を置いて(ほぼ等間隔に)埋められていて、その表面 が踏まれることを待っている。あなたはそれが一個一個の別々の無関係な石であるとは思わずに、それらの作る「動線」がひとつの道となっていることを認識している。そしてあなたはその石を踏んで先へ進んで行けば、その先には何かが待っていることを知っているのだ。
ここで飛び石の一つ一つが相互に関係していることを敢えて「論証」してから、あなたはようやくそこを歩くのだろうか? あなたはそれらが相互に関係していること、それらが一つの道
(path)を作っていることを直感的に知っており、それを敢えて疑うことなくその道を進むに違いない。時代や場所によって隔てられ、相互に無関係に見える象徴的な図像群を解き明かすことは、一列に並んだ飛び石を「ひとつの道」として認識することとその本質は変わらない。
初出: entee memo
『飛び石の暗喩(閑話休題)』として発表
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