宗教至上でも科学至上でもない立場がある、ということを表明しておきたい。どちらかの全面的否定ではなく、どちらも考察に値するテーマなり方法論なりをもっているのであり、科学であるから、あるいは宗教であるから、という理由でそれらの存在意義をどちらも全面否定できるものではない。それでは、その中間をとればいい、というような混淆主義を提唱しているのか、というとそれともやや違う。そも中間地点などあるのか? 目指すべきは、それぞれの良いところを混ぜ合わせて世界観にする、というような便利なものではなくて、物事を捉えようとする認識の仕方に関して宗教的直感(もしそう呼んで良いなら)と科学的な批判分析能力の両方を身につけるべきなのであって、不格好な宗教と科学の教義の合体を勧めていると言うことでは断じてない。その意味で態度やものの見方に関して折衷たるべきである、と言っているのであり、むしろ混淆主義を警戒すべきだと言っているのである。
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